2024年 1月 18日 (木曜日)

.学校: 教室をひと回り〜小中一貫の日 編

 今回(昨日)のひと回りは,小中一貫の日の授業公開(隣接する大津中学校の先生方をお招きして……)に合わせて行いました。それぞれの学年段階ごとに,ほぼ普段着の授業をご覧いただき,プチ協議会を行いました。
 事前に中学校の先生方にお知らせした参観の“視点”は以下のようなもの。

▶ 小学校だって“チーム”で動いてる
 以前は「小学校って“学級王国”ができちゃうからダメだよね」みたいなことをよく言われていました。担任の先生がそれぞれに独自のスキルを以て学級経営に当たるので,横(学級間),縦(学年間)の連携や連続性みたいなものが著しく損なわれてしまう。その結果,学級間格差みたいなのがどんどん開いて,学校総体としての教育活動の一貫性みたいなものが失われてしまう(ヘタをすると“崩壊”が起こる),みたいな形で,です。
 でも,今はそんなこと,ありません。学年(根岸は全学年通常級3学級,特別支援学級6学級),低中高学年ブロックそれぞれに「チーム」で動くという考え方が定着しています。学級経営や学習指導についても,きちんとした連携に基づいて進められています。もしかしたらこれ,小中一貫の取り組みの成果,の一つかもしれません。

▶ まずは掲示物に込められたあれこれを
 それでも担任の先生の個性が損なわれることなく,それぞれの“持ち味”を生かした学級経営が成り立っています。
 掲示物からは担任の先生の様々な“指導のありよう”や“意図”などを読み取ることができます。学年フロアの廊下や教室に入ったら,まずは掲示物,展示物に着目してみてください。
 学級,学年目標,学級経営,お約束事,学習tool,学習中の内容の定着をねらった板書記録……。それぞれに意図があります。
 特に学習関連の掲示物は,教科担任制の中学校の先生方にはちょっと新鮮かもしれません。

▶「学年段階」って何?をチェックしておく
  参観される学級(教科等・単元or題材)が決まったら,その学年の児童の発達の段階や,学年段階に応じた指導内容って何なの?ということを確認しておくとよいです。さらに,中学校にも配布されている小学校教科書の関連ページを,パラパラ見ておくだけでも理解が深まるかも。
 例えば国語科の学習指導要領にある〔思考力,表現力,判断力等〕のうちの「C 読むこと」ひとつとっても,学年によってこんな風に「身に付ける」べき事項が変わっていきます。
〔1・2年〕
ア 時間的な順序や事柄の順序などを考えながら,内容の大体を捉えること。
〔3・4年〕
ア 段落相互の関係に着目しながら,考えとそれを支える理由や事例との関係などについて,叙述を基に捉えること。
〔5・6年〕
ア 事実と感想,意見などとの関係を叙述を基に押さえ,文章全体の構成を捉えて要旨を把握すること。
 ほんとは図工美術の方がすらすら説明できるのだけど,あえて,あまりよくわかっていない教科の本文から拾ってみました。
 国語科以外の先生は「小学〇年生段階って,こうなのね」という視点で見てください。国語科がご専門の先生だったら,縦の系列を追って,中学校に至るまでをチェックしつつ,その授業をご覧いただけるとよいと思います。

▶UDの視点であれこれ〜指示・展開
  授業のUD化が喧伝されるようになって久しいです。「支援を要する児童にとって役に立つことは,すべての児童にとってもご利益のあること。だからユニバーサル・デザイン」……というのが一般的におさえておくべきこと,とされています。小中一貫的には,上の「支援を要する」を「学年段階の低い」に置き換えて,授業をご覧いただくと,様々なものが見えてくるかもしれません。
 一時に一事を伝える,見通しと終わりを明らかにする,常に全体を意識する,空白をつくらない,活動の規模を指定する……。
 学年が下がれば下がるほど,こういう具体的で抜け目のない指示とか,ゲーム感覚で集中させるテクニックとかが要求されます。
 小学校に異動(池上中→馬堀小)したての頃,先生方の授業を拝見するたびに,すごい技の数々を駆使してるんだなぁ,と感心していました。6年目の今でも,まだまだ新鮮です。授業中の教室を一回りして,いつも「小学校の先生って,すごいよなぁー…」とつぶやきながら校長室に降りて来ることが多いです。

▶ UDの視点であれこれ〜メディア活用
 板書-映像-教科書-ノート(ワークシート)がどんな風にリンクされているか,というのも大切な視点です。
 特に低学年ではノート活用の“初めの一歩”から指導が入っています。これをベースにして,学年が上がれば上がるほど,種々の媒体とリンクさせながら学習が進むようになります。
 板書とノートをリンクさせるための「アイコン」(写真中段右端)みたいなのも教室に常備&良く使われているのでチェックしてみるとよいです。

▶ たかが帰りの会,されど帰りの会
 授業後の分科会開始までの間,「帰りの会」をご覧いただくことになります。ホントは朝,昼(給食〜掃除)も併せてご覧いただくとよいのですが……。空き時間が少ない(中学校比で77%くらい?)中で,学級担任がどんな苦労や創意工夫をしているか,その片鱗が見られるかもしれません。

 授業後の協議会(特別支援と低中高ブロックの4分科会)では,想定される小中ギャップとその克服,小学校6年間の授業参加(一定の秩序を保った)の系統性,ICT活用の学年段階……様々な話題が上がっていました。大変充実した研修会になりました。

●過去の小中一貫の日
https://schoolnet.edu.city.yokosuka.kanagawa.jp/schoolnet/ictea-gw/modules/ictea_jblog/index.php?smode=Monthly&action=View&event_id=47396&caldate=2023-11-1&schid=30&block=0


 
掲示者: 16時00分