2022年 6月 1日 (水曜日)

.学校: 4年 道徳科授業『かさ』〜思いやりのリレー

 今日の緊急出動(補欠授業)は4年生の道徳でした。
「校長先生コウチョウセンセイ,昨日の1年生の,あの割りばしとかどうですか?」
「あれは低学年向けの題材なんだよな,できないことないけどな…。中学年の造形遊びは“場所”に働きかける,だからなぁ……ちょっと無理があるかなぁ……。道徳なら単発でできるかも。担任の先生には申し訳ないけど,道徳科にします」
 と,あさイチでバッターボックス入りが決まり,週案に記された教材名を確認,いつものアナリーゼ(後述)を始めました。
 お題は内容項目「B主として人との関わりに関すること」の「7 親切,思いやり」。まあこういうのは普通にやったら,人には親切にしましょうね大切なことですから,で終わってしまう,面白くもなんともない展開になってしまいます。なので,主人公の“普通さ”(休日の水やり当番をサボっちゃいたいんだけどサボり切れずに……という“あざとイイ人”?)を前面に出して,そんな子が,思いがけず他者の思いやりに触れたらどうなるの?,みたいなところに児童の皆さんが親近感をもって教材と向き合えるように,と考えました。(でもなぁ,この教科書,返す返すも最初からネタバレしすぎちゃうんだよなぁ……。冒頭から,「思いやりのリレー」とか掲げちゃうし……)

 ある程度の「導入」(最初の“つかみ”)をあらかじめ考えて教室に入ります。いつものようにウエルカムの空気。(ありがたい。急に決まったのに,なんでこんなに温かく迎えてくれるの……?)
 緊急出動用に用意してあったチョークフォルダと何色かのチョークをケースから取り出して,黒板の粉受けに並べようとすると……すでに写真のように準備してくれていました。
「黒板掃除の当番が用意しました。いつもやってることですけど…」(ウームすごいなぁ……)
 この,係の児童や学級からにじみ出てくるようなホスピタリティーを“枕”にして,授業の導入につなげたことは言うまでもありません。

 この“ウエルカム・チョーク”に象徴されるように,児童の皆さん,飛び入り授業者である私からの,つたない問いかけに,鋭いレスポンスで豊かに応えてくれました。クラスの半数近い皆さんが,様々な局面で発言してくれたと思います。
 これまで,道徳科の授業の指導助言は何百回もしてきましたが,道徳科の授業内容や指導テクニック以前の問題として,「学級の健康状態」をよく話題にしていました。どんなに良い教材,指導テクニックがあっても,「学級の健康状態」(安心して発言できる? 聴き合える関係ができている? 一人一人に自己肯定感,自己有用感が育っている?……)が望ましい状態で維持できていないと,道徳科の授業は成立しません。
 逆に,進め方が今一つでも,日頃の学級指導の成果が存分に表れて,子供たちに助けられる形で成立する授業も数多く見てきました。

 児童の皆さんの発言をあれこれつなぎながら,教材の中で飛び交っている思いやりのベクトル(“傘”に象徴されている?)や,その“リレー”のありようを確認しました。
 雨降りの2日間でちょぴり変わっていった“あざとイイ人”であるフツーの少女と,児童の皆さんそれぞれが,“自分”を重ねて考えることができたら,よかったのですが……。
 いよいよ梅雨入り,傘の季節です。

● 道徳科の教材研究はアナリーゼみたいだ!〜他校での補欠授業
https://schoolnet.edu.city.yokosuka.kanagawa.jp/schoolnet/ictea-gw/modules/ictea_jblog/index.php?smode=Monthly&action=View&event_id=43320&caldate=2022-2-28&schid=32&block=0


 
掲示者: 8時10分