2019年 10月 21日 (月曜日)

.学校: カリキュラム・マネジメント(カリ・マネ)と働き方改革

カリ・マネ,その定義
 いつかこのことをこの場で話題にしなければ,と思いつつも,なかなかたどり着くことができませんでした。あまりにもテーマが大きすぎて,限られたスペースでは扱いきれないからです。例えば学習指導要領の本文から関係箇所を引用するだけでも……

小学校学習指導要領 第1章総則第1の4
 各学校においては,
児童や学校,地域の実態を適切に把握し,教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を
教科等横断的な視点で組み立てていくこと,教育課程の
実施状況を評価してその改善を図っていくこと,教育課程の実施に必要な
人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して,教育課程に基づき
組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと
(以下「カリキュラム・マネジメント」という。)に努めるものとする。


 となります。 銑イそのポイント。でも,こんなことは,至極当然のことのように思えますが,文部科学省がこの10年の間に洗い出した課題を反映させたものがこれ,ということになります。

教科等横断的な「資質・能力」って?
 なんだか耳慣れない言葉だけれど,でも目玉の一つになっているのが,「教科等横断的な視点に立った資質・能力」を位置づけて様々な教育活動を進めていく,ということです。
 ここでいう「資質・能力」というのは……?
 これまでの学校教育では学習する内容が教科ごとにくっきりと分かれていました。でも,これからの予測不能な世の中では,そういう,ばらばらに学んで身に付けた力を,バラバラにしておくだけでは十分に通用しないだろう,と考えられるようになりました。以前お伝えした「Society 5.0」の中でも,これまであった“文系-理系”の枠組みが崩れ,専門分野を超えた総合的な仕事力のようなものが求められるようになる,としています。
 新学習指導要領ではこの「教科等横断的な視点に立った資質・能力」を次のように位置付けて「教育課程の編成を図るもの」としています。

『総則』解説 p.48第1章第2の2の(1)
(1)学習の基盤となる資質・能力
(1)各学校においては,児童の発達の段階を考慮し,言語能力,情報活用能力(情報モラルを含む。),問題発見・解決能力等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう……。
『総則』p.52第1章第2の2の(2)
(2)現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力
(2)各学校においては,児童や学校,地域の実態及び児童の発達の段階を考慮し,豊かな人生の実現や災害等を乗り越えて次代の社会を形成することに向けた現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力を育成していくことができるよう……。


カリ・マネと「働き方改革」一体化
 本校では既に,次年度以降に向けて様々な取り組みを進めています。取組を進めるにあたって特に意を用いていることがあります。それは限られた資源(人,時間,モノ,お金)を最大限,有効活用して質の向上を図るために,教育活動の精選を行い,種々の業務改善(働き方改革)と一体化させるということです。この「カリキュラム・マネジメントと一体化した働き方改革」は年度当初に掲げた『学校経営方針』のうち,「重点的取組」としても示しています。

例えば「運動会」をめぐって
 時間対効果を考えながら業務改善をはかるとは?……児童や保護者,地域の皆様にもわかりやすい「運動会」にまつわる動きを例に挙げてこの取組を説明させていただきます。「優先順位と“劣後順位”」の視点をもって以下のような見直し,改善を図っています。

〇開催時期の変更
児童の実態(学級指導の安定化),体育科の指導計画,保健指導(熱中症回避)等の実態から,春→秋に変更しました。それに伴って……
〇「まぼりっ子遠足」の一時凍結
これは秋に実施していた遠足を縦割り班活動の集大成の一つとする,という考え方の見直しでもあります。
〇運動会プログラムの精選
体育科,特別活動等の指導のねらいに即して身に付く「資質・能力」が“重複”する団体種目,障害物競争等を統廃合しました。
また,児童の資質・能力育成に直接結びつかないPTA種目を運動会プログラムから外しました。それに代わるものとして保護者(P)-教職員(T)間,児童-保護者間の交流の場を「あおぎり祭」(PTA行事)や「健民運動会」等地域行事との連携の中で位置付ける等の検討を進めています。
開閉会式の簡略化→他の儀式的行事と重複する要素を縮減し,シンプルにしました。

 以上により,運動会当日の所要時間縮減(勤務時間内での開催)を達成。また,種目減に伴う事前練習等の縮減により,教科指導に充てる授業時間確保についても,大きな成果を得ました。

まるでいつかの“事業仕分け”みたい!?
 こうしてみると何でもかんでも切り詰めて統廃合して……子供たちに悪影響はないの? もっとのんびり楽しませてあげればよいのに……,という声も,時間と体力が自由になる若い教職員からは聞こえてきます。これには,文部科学省の『働き方改革 答申』がこう答えています。

‘子供のためであればどんな長時間勤務も良しとする’という働き方は,教師という職の崇高な使命感から生まれるものであるが,その中で教師が疲弊していくのであれば,それは‘子供のため’にはならない

 来年度は外国語が新たな教科として導入されるなど,授業時間数が大幅に増えます。それに見合った教職員の増員があるかというと,そのようなことは全く期待できません。増員はおろか,すでに教員不足で深刻な事態に陥っています。(10月1日時点で本校は2名の教員が未配置です)
 このように時間対効果を指標とした業務改善は,文字通り喫緊の課題になっています。その一方で学校教育の質を十分に維持向上していくことに注力しなければなりません。
 これを実現させるための手立ての一つがカリキュラム・マネジメントの考え方なのだ,ということができるわけです。

●本校では,学習指導要領に準拠するとともに,横須賀市教育委員会が働き方改革のスーパーバイザーとして招聘している,妹尾昌俊 氏(学校業務改善アドバイザー,文部科学省第9期中教審委員)等の言説を参考にしながら,一連の取組を進めています。

★関連Webサイト
妹尾昌俊アイデアノート〜ステキな学校,地域,そして人たち

 http://senoom.hateblo.jp/archive
日本中の先生たち Be Happy! 妹尾昌俊 (Yahooニュース)
 https://news.yahoo.co.jp/byline/senoomasatoshi/
学校における働き方改革について(文部科学省公式Webサイト)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/index.htm

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カリ・マネと一体化した働き方改革−◆2020/9/29)
https://schoolnet.edu.city.yokosuka.kanagawa.jp/schoolnet/ictea-gw/modules/ictea_jblog/index.php?smode=Monthly&action=View&event_id=38935&caldate=2020-9-28&schid=32&block=0


 
掲示者: 16時20分