2022年 7月 18日 (月曜日)

.学校: 夏休みの宿題,考 〜保護者目線も交えながら

 本校では今年から,夏休みに募集がかかっている,種々の作品の取り組みを,“必須”ではなく“任意”にしました。応募・出品の仕方も一部,変更されています。こうした動きからもわかるように,「夏休みの宿題文化」を取り巻く事情は,あれこれ変化しています。 例えば……

▶ 「黄色い募集チラシ」,って……
 7/8に配布したこのチラシ,今年度,新たに作成,配布されたものです。発行元は明示されていませんが,市の教育委員会の「教育政策課」(教職員の働き方改革を推進する業務を担当)が仲立ちをする形で,横須賀市の様々な部局が主催する作品募集事業を,児童・保護者の皆様にまとめてお知らせするために作られました。
 ここに至るまでにはいろいろな経緯がありました。以前はどうだったかというと……。
 チラシ裏面の一覧にあるような作品募集を,それぞれの部署がそれぞれバラバラに学校に依頼していました。と,たった一文で書いてしまうと簡単なのですが,それはそれは大変なことでした。バラバラに来た募集を整理・一覧化して児童保護者の皆様にお知らせし,応募作品をこれまた整理して,汚損などの粗相がないように,これまたバラバラの部署に出向いて出品しなければならなかったわけですから。
 “黄色いチラシ”の取り組みは,これらの作業から先生たちを解放し,大幅な業務改善を実現してくれました。
 この業務改善は,もともとは文部科学省の指導に呼応する形で実現したものです。

 2019年3月の『働き方改革にかかる文部科学大臣メッセージ』には「関係機関へのお願い」の項に,このような記述があります。
・ 作文,絵画コンクール等について,学校単位での応募や学校による審査や取りまとめを要件としない,また,学校経由での子供への周知を求めないようにしていただくこと。
 多少の時間はかかりましたが,横須賀市の教育委員会はこの呼びかけに真摯に向き合い,実現に向けて尽力してくださいました。

▶ 夏休み明けに注力すべきは〜銀の時間
 夏休み明けは,なかなか学校に足が向かない児童の皆さんのケアや自殺予防など,長期休業明けならではの,大切な対応が求められます。
 また,この時期は,「銀の時間」といわれています。学級経営の立て直しを行い,望ましい形で再スタートをするための大切な日々……。4月の新学期「金の時間」に次いで,大変重要な時期として位置づけられているのです。
 夏休み明け,学級担任の先生たちが一番に力を注ぐべきは,様々な形できめ細かく子供たちと向き合うこと,ということになります。
 “黄色いチラシ”はまた,そのための“ゆとり”を生み出すための一助となりました。

▶ 保護者の立場では,それなりに……
 これまで8年間にわたり,保護者の立場で二人の子供の“夏の宿題対応”をしてきました。学校としてはこれまで通りの感覚で「“必ず一つ”は取り組みなさい」というノルマを課しているんだろうな……,と理解する一方で,(でもヘンだよね)と思い続けていました。
 何より,取り組むための“必然”が見つからない。加えて,夏休み中もいろいろなスケジュールで埋まっており,公募系の宿題などに時間を割くヒマがない……。
 親からしてこうなので,子供がやる気になるわけがありません。はじめのうちは,いちばん手間のかからない“標語”あたりでお茶を濁していました。
 すると学校側も然(さ)るもので,こういう“いい加減”な保護者対策のためか,翌年から“「標語」については単独応募NG”という条件をつけてきました。ウーム……そうきたか(笑)

▶ 取組の“必然”って何?
 先生たちには日ごろから,同じようなことを繰り返し話しています。
「“今の”,“この”教育活動は,子供たちにどういう“資質・能力”を身に付けさせるためにしていることなの?それはカリキュラム・マネジメントの中できちんと位置付けられていることなの?……ということをいつも意識しながら,指導に当たりましょう」
 つまり,ただ何となく“これまで通り”の指導を,教科書などに沿って進めるだけではダメ。指導の意味やねらい,目的などをきちんと意識して,学校教育目標に照らしながら,精選して指導実践に当たるように,ということです。
 夏休みの宿題も同じです。これまで何となく続けてきたから,そのまま今年も,と無疑問に踏襲するのでは不適切。宿題として課すならば,きちんとしたねらいに基づいて指導と評価を実現できるようでなければイケマセン,と。

▶ お子様の興味・関心を第一に!
 児童の皆さんには,夏休み,学校から課されたノルマを果たす,ということを目的にするのではなく,本当に関心のあること,夢中になれることに取り組んでもらいたいと思っています。
 かけがえのない“〇年生の夏休み”に,何をして過ごすか……。野外活動でも作品製作でも研究活動でもよい,皆さんの心に確かに刻まれるようなことに取り組み,充実した時間を過ごしてください。

●7/8配布の「黄色いチラシ」関連サイト
https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/8115/22sakuhinbosyuu.html

● 文部科学省webサイト
「学校における働き方改革について」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/index.htm

 

 
掲示者: 11時46分