2003年度 研究の経過
T 前年度までの経過
1999年度の研究では、2002年度にスタートする新指導要領に向けて、公郷小の教育実践がスムーズにすすめられるようにとの意向から、公郷小の子どもの実態を明らかにする中で、子どもたちにつけたい力は何であるかの検討を重ねていった。その結果、「人と交わる力」「ものに働きかける力」「問題解決の力」の3点に絞られた。
2000年度は、新教育課程の中に『目玉』として打ち出されてきた「総合的な学習」について学習していくと同時に、公郷小の子どもたちにとっての「総合的な学習」は何であるか、この学習を進めることで上記の3つの力をどのように子どものものにしていくのかを各学年の授業実践を通して研究していった。また、2002年度を見通したカリキュラムの作成に取り組んだ。
2001年度は、2000年度に引き続き、「総合的な学習」の授業研究を通して子どもにつけたい3つの力について検討を加え、さらにカリキュラムの中に生かしていく方向を探った。この授業実践から体験の重視、読み書きの力が基礎・基本として重要との意見が出てきたが、基礎・基本の捉え方は見解が分かれていることもあり、引き続き公郷小として重視する基礎・基本を検討していく必要が確認された。「総合的な学習」としては、3年目の区切りをもって研究を終えることとした。他方、2000年度に作成したカリキュラムについては学年及び、教科の縦のつながりを見ながら検証し、合わせて2002年度の時間割についての検討をし、職員会議で決定した。
2002年度は、時間割の検討の際に出され、新しく導入した「15分モジュール」を基礎・基本の充実の時間、くり返し学習によるスキルアップの時間として捉え、各学年が実践することにより成果や問題点を拾っていった。また、2003年度カリキュラムを作成するために、前年度のカリキュラムの検証を行った。
U 校内研究テーマについて▼
これまでの研究から、主に「総合的な学習」では子どもたちの自由な発想、学ぶ意欲などを重視し、子ども自らが問題解決に向かうよう取り組んできた。が、その一方で問題解決の力を支える基礎的な力(基礎・基本)もしっかり身につけておく必要があるとの考えもある。両者は密接に絡みながら学力を形成していくものと思われる。従って両者を相互に関係させながらテーマの「生きる力」に迫ることになるだろう。
生きる力を育てる教育課程の研究
サブテーマ 基礎・基本を充実させるカリキュラムのあり方を探る
〜国語科を中心としたスキルアップを図る〜
今年度は、すべての教科、及び学校生活全体の「もと」となる国語科を中心に研究を進めていくことを確認した。学習が言語を媒体として成立していることを考えると最も基本と考えられるからである。基礎的な力をしっかり身につけていくことにより、一人一人が自信をつけ、学ぶ意欲や積極的な姿勢といった生きる力を獲得することを目指したい。
V 今年度研究の経過
《言葉をめぐる子どもの現状と育てたい力》
今年度のサブテーマを受け、最初に「子どもの言葉をめぐる状況がどのようになっているのか」を再確認する意味で、学年ごとに教師が捉えた子どもの言葉をめぐる現状を出し合った。学年により、多少の違いはあるがまとめると次のようになる。
V 今年度研究の経過
《言葉をめぐる子どもの現状と育てたい力》
今年度のサブテーマを受け、最初に「子どもの言葉をめぐる状況がどのようになっているのか」を再確認する意味で、学年ごとに教師が捉えた子どもの言葉をめぐる現状を出し
合った。学年により、多少の違いはあるがまとめると次のようになる。
これらの現状をふまえ、推進委員会ではどのような言語的な力を育てたいのかを検討し、
・聞く力の低下
・日本語の語感の豊かさを感じ取れない。イメージ化できない。
・話し言葉の乱れ、荒れた言葉遣い。
・言葉に実感がない。体験から言葉につながらない。
・言葉で思考しているのか。論理的な思考に不慣れ。
・順序立てて伝えたいことを話すことが苦手。
・コミュニケーションの不足
・会話の減少、対話の少ない生活
・言葉を使う「人」の問題、周りの人やものに対しての配慮の不足
・言語活動のマニュアル化、how toものの流行
・言葉が多様化していることは悪いことではなく、その事実を受け止める必要が
あるだろう。(流行語、絵文字など)
次のように整理した。
個々の力として
ことばのもつ力を感じ取る。
・言葉の楽しさ、面白さに出合い
ながら言葉に対する鋭さ、豊かさ
を身につけていく。
関係性の中で
コミュニケーション力を高める
・「話す・伝える力」
自分の思いを相手に伝えられる
他者を意識した話し方
(言いたいことを言うだけでなく、
筋道をたてて話す)
・「聞く力」
言葉を想像しながら(イメージな
がら)聞く。
相手の気持ちを感じ取ったり、相手の身になって考える習慣聞く姿勢など形として教えることも
必要か?言葉の感性を磨く
ことば遊び(しりとり、早口ことば、音・リズム遊び、詩・俳句などを取り入れた授業
読書、読み聞かせ適切な場の設定
授業の中に演劇的要素を取り入れる
ロールプレー
スキルアップ
学年から出された考えをもとに推進委員会で研究の方向を検討し、6月の研究全体会に提案して意見交換した。コミュニケーション力として「話す」「聞く」を研究していく方向としては賛成が得られたものの、具体的な活動や進め方が明確でないことに対する意見が出た。また、スキルアップについての共通理解をもってほしいとの要望も出された。
《夏の研修と具体的な進め方》
これらの課題をもちつつ夏期休業に入ったため、夏の研修では「国語科」の講義にいつになく多くの教師が参加した。指導要領の改訂で、国語科においては読解中心から伝え合う力の育成へと重点が移ったため、校内研究と合致する研修内容であったからだろう。
研修の報告や資料提供を受けて、推進委員会で再度課題となっていた研究の具体的な進め方について話し合った。学習スキルについては「子どもが学習の対象に迫っていく際に用いる学習の方法や技能」と捉えた。意識していなくても、今までにも学習スキルを使って学習を進めてきているはずであり、それらが子どもにどう身に付いているかなどに焦点をあてて明らかにしていく必要があることが確認された。また、「話す」「聞く」力は放っておいては育たないので、きちんと教えていかなければならない現実があると考える一方で、スキルばかりやっていていいのか、技術訓練的なもの(マニュアル化)になってしまわないか、それだけでは子どもの言葉へのイメージは広がらないのではないかという危惧も出された。研究対象が広い範囲にわたるため、なかなか筋道が見えてこないが、「話す・聞く」力が全ての学習の基礎になっていることは避けて通れないことから、9月以降の研究は、「話す・聞く」の領域に絞って進めていくこととした。
《話す・聞く領域における学年目標の設定と授業実践》
指導要領の「話す・聞く」領域における各学年の目標を子どもの実態に照らして検討し、学年の目標を設定した。これについては指導要領の目標設定が2年のスパンになっていることや共通理解を深めるという意味から低・中・高のブロックで話し合いをもった。 (次ページ 資料参照)
目標設定後、学年ごとの目標について、縦のつながりや内容などを確認した。学年目標が確定した後は、その目標を達成するための授業の進め方、教材の掘り下げ、見直しなどを授業実践を通して検証していき、いつ頃、どの単元で、どのように授業実践したかをカリキュラムの中に位置づけていくようにした。合わせて、言葉に対しての子どもたちの興味・関心を引き出す取り組みとしてどのような実践をしたか、学年単位に記録していった。 授業実践の終了する2月から3月にかけて、学年目標や「話す・聞く」領域での実践記録、その他の取り組みなどを振り返り、学年ごとに反省としてまとめた。各学年から出された実践の反省をもとに、推進委員会で今年度の研究のまとめをし、研究全体会にて学年ごとの実践報告や全体としての研究のまとめを行った。
2004年3月18日
校内研究推進委員会